暮らしは育てるもの
家づくりで本当に大切なのは、お引渡しをした後の暮らしだと思っています。
家族が季節を重ね、思い出を積み重ねながら、少しずつその家らしさが育っていく。
最近、そんなことを改めて感じる機会が増えました。
私の自宅も建ててから15年が経ちました。
毎日歩いている唐松の床は、新築当時とはまったく違う表情になりました。
少しずつ色艶が深まり、家族とともに時間を重ねてきた跡が刻まれています。
新品の美しさとは違う、この家だけの味わいです。
以前、お引渡しから一年ほど経ったオーナー様が、
「住んでみて、設計の良さが分かりました。」
と話してくださいました。
その言葉がとても印象に残っています。
設計だけでもなく、施工だけでもない。
設計と施工、それぞれが丁寧に積み重ねた一つひとつの仕事があってこそ、時間とともにその良さが少しずつ伝わっていくのだと思います。
そして、私が最近いいなと感じる暮らしには、一つの共通点があります。
それは、家全体がゆるやかに外とつながっていること。
窓を開ければ風が通り、庭へ出て植物に水をあげる。
テラスでコーヒーを飲む。
愛犬と外へ出る。
そんなふうに、気負うことなく自然と外へ足が向く暮らしです。
暮らしは、一日で完成するものではありません。
季節を重ね、家族の思い出を重ね、
少しずつ自分たちらしい住まいになっていく。
だから私は、家を完成させることよりも、その先の暮らしがゆっくり育っていくことを大切にしたいと思っています。
家づくりとは、建物をつくることではなく、そのご家族らしい暮らしを育てていくこと。
そんな住まいを、これからも一棟一棟、丁寧につくっていきたいと思います。
皆さんは、これからどんな暮らしを育てていきたいですか。
それでは、また明日。