工事中でも美しい街、ヨーロッパで見かけた建物の工事現場
ヨーロッパの都市を歩いているとよく見かける風景があります。
それは、工事中の建物を覆う足場シートに描かれた美しい建物の“絵”です。
この建物は改修中のようで、足場にはその案内とともに、完成後の建物の外観を模したアートがシート全体に描かれていました。
ただの養生シートではなく、建物のスケールや窓の配置、色味まで丁寧に再現されていて、まるで“工事していないかのように”感じられるほど自然に街並みに溶け込んでいました。
しかもその中央には、「NEW DIMENSIONS」というメッセージが書かれ、通行人への告知とブランディングも兼ね備えた非常にスマートなデザインです。
工事現場というと、どうしても無骨な仮囲いや雑多な印象を持たれがちですが、ヨーロッパではこうした景観への配慮が日常的に見られます。
観光都市にとって、街の美しさは資産。
だからこそ、工事中であっても訪れる人に不快感を与えないよう、そしてその建物の価値をしっかり伝えるような工夫がなされているのだと感じました。
日本でも商業施設やホテルの改修時に、完成イメージを印刷した幕を使うことはありますが、ここまで建物のスケールに合わせ、まるで“だまし絵”のように街に溶け込ませる演出はまだ少ないかもしれません。
一時的な工事とはいえ、その街を訪れる人にとっては一期一会の風景。
建築の世界に携わる者として、こうした美観への気づかいも大切なのだと改めて感じました。
それではまた明日。