高気密・高断熱=快適? 本当の快適さを決めるのは「設計力」
■ 高性能住宅が当たり前になってきた時代
ここ数年で「高気密・高断熱の家」という言葉はすっかり一般的になりました。
住宅性能が大きく向上し、補助金制度などの後押しもあって、より高性能な家が手に入りやすくなっています。
ただその一方で、「気密と断熱を良くすれば冬は暖かく、夏は涼しい」と思っている方も多いのが現実です。
実際には、気密や断熱の数値を上げるだけでは、一年を通して快適な住まいにはなりません。
■ 気密・断熱だけでは快適にならない理由
たとえば真夏。
どんなに断熱性が高くても、南面からの強い日射を遮る工夫がなければ室内は暑くなります。
逆に冬は、日射をしっかり取り込む設計がなければ、せっかくの断熱性能も十分に発揮されません。
つまり、「断熱」「気密」はあくまで“快適な家づくりの土台”であり、それをどう活かすかが重要です。
そのカギを握るのが、「設計力」と「建築力」です。
■ 快適な暮らしを生み出す“設計力”とは
本当に快適な家とは、単に室温が一定であることではなく、“自然と調和した心地よさ”がある家のこと。
そのためには次のような設計的な視点が欠かせません。
- 日射取得と日射遮蔽のバランス設計
- 風の通り道をデザインする通風計画
- 湿度や気流をコントロールする仕組み
- 光と影のバランスを考えた空間構成
これらを自然の力と融合させた考え方を「パッシブデザイン」と呼びます。
エアコンに頼りすぎず、四季の移ろいを感じながら心地よく過ごせる家づくりの基本です。
■ 新築もリノベーションも「性能を活かす設計」が大切
新築住宅ではもちろん、リフォームやリノベーションでも同じことが言えます。
既存の建物を生かしながら性能を高めるには、断熱改修や気密改善といった工事だけでなく、日射や通風、間取りの見直しまでを一体的に考えることが大切です。
断熱材の入れ替えや窓の交換なども、“どのように暮らすか”を前提に設計されてこそ効果的になります。
性能を数字で追うだけでなく、住まい手のライフスタイルや地域の気候を踏まえた提案が、本当の快適さをつくる鍵です。
■ 性能値では測れない“心地よさ”を
私たちが大切にしているのは、UA値やC値といった数値の高さそのものではありません。
それらをどう活かし、どんな“暮らしの心地よさ”を生み出すかという視点です。
断熱や気密は目的ではなく、暮らしを支えるための手段。
その性能を最大限に生かすのは、設計力と建築力、そして住まい手の想いです。
■ まとめ:数字の先にある、快適な暮らしを
これから新築やリノベーションを検討される方は、性能値だけで比較するのではなく、「どんな暮らしを実現したいか」を軸に考えてみてください。
“高性能”とは、単に数値が優れていることではなく、一年を通して快適で、家族が笑顔で暮らせる住まいをつくる力のこと。
私たちは、その“設計力”と“建築力”で地域に根差し、皆様の理想の暮らしをカタチにしていきたいと思っています。
それでは、また明日。